2019-01-01から1年間の記事一覧

後日談:レゾンデートルの犬

【レゾンデートル(raison d'etre)】自身が信じる生きる理由、存在価値を意味するフランス語の「raison d'etre」をカタカナ表記した語。他者の価値と比較して認められる存在価値ではなく、あくまで自己完結した価値を意味する。──実用日本語表現辞典先日、「…

レゾンデートルの犬

壇上、或る人は問いかける。 『君の生きる価値は何だ?』 僕は呟く。 「そんなの、こっちが聞きたいよ。」 生きる価値とは自分で見つけ出すものだ、その人は偉ぶった調子でそう続けた。 その後の話はよく覚えていない。 明くる日、僕は友人と昼食を摂ってい…

君の生きる姿が見たい

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思い出というもの

自分の気持ちに鬼気を感じるほどに言葉を吐き出し飢えているので少し文章を書いて発散しようと思います。 気持ちの流れるままに書き記すので、文章が普段と比しても殊に拙いものになるかもしれませんが悪しからず。 僕の記事には大体2種類あって、自分の考え…

夏の幻影

茹だり腐り落ちた鳥の亡き骸が、スイカズラの茂みに埋もれている。 その姿は夏日に枯る青い果実のようにも見えた。 好天とも荒天とも言うべき調子で太陽は嗤っている。 呪いにも似た感情を覚えながら空を仰ぎ見ると、陽光の鋭さから逃げるように夢から覚めた…

春の

桜が咲いている。 突然目に入ったその光景に、昨日までは無かったものが急に現れたような錯覚を覚えた。 花は好きではなかった。 咲く花に気持ちの全てを左右されるような、季節を強要されるような、そんな気がしてしまうからだ。 今日は其処彼処で入学式が…

夜は心を溶かして

「また一日が始まる…。」 少し開けた窓の外、漂泊する小鳥をぼんやりと見つめながら、彼女は呟いた。 小鳥は、その声を僅かに捉えていた。 意を解すことはない。 音は獲物や身に迫る脅威を察知するための媒体に過ぎず、頭に植えられた磁針を頼りに帰巣するそ…