温泉に行った話

1年近く振りの記事になってしまいました。

書きさしの記事はいくつもあるんですが、なかなか結びまで筆が乗らず…。

今年はもう2つくらい出せたらいいなって具合です。

 

さて、この頃は私生活やSNSなど人間関係に疲弊する出来事が多いなと感じる日々を送っていました。

Twitterの下書きに、

『過激なツイートやインプレ稼ぎのリプライばかりを見て気が滅入った状態のこと「Twitterブルー」って呼ぶの流行らせたい』

なんてしたためたりしながら苦しみ悶えていた訳なんですが、或る人から「デジタルデトックスしたらいい」と助言を受けました。

 

デジタルデトックスとは、「スマホなどのデバイスと距離を置いてストレスを軽減し、現実でのコミュニケーションや、自然とのつながりを意識する取り組み」のことだそうです。

今調べて知ったんですが、日本デジタルデトックス協会なるものも存在しているようで…。

 

そんなわけで、三連休だった先週末をほとんど誰とも連絡を取らず、SNSも極力見ず、自適に過ごしていました。

抱えていた問題の1つがその間に快方へ向かったおかげもありますが、結果としてはかなり気持ちが楽になって良かったです。

SNSに感情を揺さぶられ疲れてしまったら、少しそこから離れてみるのもおすすめです。

 

ではそのデジタルデトックス期間に何をしていたのか、というのが表題に繋がるわけなんですが、近くの温泉に行ってみたりしていました。

その辺あまり明るくないので温泉という表現が良いのか分かりませんが…スーパー銭湯?とかの方が正しいんでしょうか…?

 

僕が温泉を苦手だという話は常々していることなのでご存知の方も多いかと思いますが、この頃の寒暖差と前日に長時間外に出ていたことも相まって無性に温かい湯に浸かりたくなり、意を決して "おじさんで煮だした出汁の池" に臨んできたというわけです。

大衆浴場へ赴いたのは7~8年振りとか、それくらいでしょうか?

正直自分から行こうと思う日が来るとは思ってもみませんでした。

 

受付を済ますと岩盤浴用の着物だと言われて薄い服を渡されました。

こんな人間たちの汗が無限に染み込んだ履歴のある服を俺はこれから着るのかと心の片隅で思いつつ、下着や靴下との接し方もわからないまま更衣室をきょろつき、周りの様子を伺いながら何とか着替えを済ませました。

 

くつろぎながら漫画が読めるとのことで、まずは書籍コーナーに向かいます。

以前にアニメで見た天国大魔境という作品の続きが気になったので、それを読もうと探しますが、どうやら取り扱いが無い模様。

しょぼくれた心で岩盤浴コーナーへ向かいます。

 

実を言うと本当の目的は温泉というより岩盤浴で、これには以前から興味がありました。

そもそも「岩盤浴」というのがどんなものなのかさえ想像がついておらず、熱せられた石盤の上に寝転び、鉄板で焼かれる食肉の気持ちを味わう遊びだとさえ思っていた節があります。

これを読んでくれる人の中にも岩盤浴への理解度が僕と同レベルの人がいるかもしれないので、「岩盤浴のネタバレ」にならないよう、実際にどのようなものだったかについて語るのは控えておきます。

体験した感想としては、とにかく暑くて、これに一体なんの意味があるんだ!と思いながら、でも皆が有難がるからには何か意味があるに違いないという感じでした。

(恐らくは代謝とかその辺の話だと思います。)

そして仕舞いには「暑さに耐えている状態こそが快感なのだ」というマゾヒスティックな錯覚を起こし、倒錯した思考の中で、ただ「耐えろ」という命題だけが脳を支配していました。

思いのほか良かったです。

 

ひとしきり温まったあと、外へ出て汗が引くのを待ち、施設内で夕飯を済ませて温泉へ向かいます。

ご飯は結構色々あって迷いましたが、まぜそばとピザを食べました。

温泉へ向かうと全ての人々は生まれたままの姿へと還っていくわけですが、温泉くらいしか同性の身体を見る機会なんて無いので、個人的には中々にショッキングな映像でした。

林保護活動でもしているのかと思うほどに下腹部の草木は萌え盛り、そうして出来た森の中から少し控えめなムーミンが顔を覗かせている、みたいな、大体みんなそんな感じでした。

もうちょっと何とかして欲しかったです。

 

身体を流して温泉に浸かると、湯に浸かること自体かなり久し振りだということに気付きました。

湯船の中でジェット水流?が噴き出していて、それを腰に当てながら、最高のマッサージチェアだ!と思っていると、隣に「電気風呂」という表示を見ます。

それからしばらく経ちましたがマジで誰も入っていませんでした。

が、好奇心に抗えなかったので恐々としながら身体を沈めに行くと、およそ人間が生身に浴びていいものとは思えない電流が流れていました。

電流が流れる度に筋肉が収縮して身体が丸まり、自由が利かなくなるのがわかりました。

面白かったです。

感電したときってこんな風に身体がこわばるんだろうなと思いました。

これに一体なんの意味があるんだ!と思いながら、でも存在しているからには何か意味があるに違いないと思い、しばらく浸かっていました。

 

サウナも初体験でした。

わけのわからない暑い空間で老若の男たちが耐え忍ぶ様がどうにも愉快なところでした。

個人的には岩盤浴の方が好みでした。

 

そんなこんなで温泉を上がり、謎のシャンプーで髪がギシギシになったのを感じながら自販機へ向かいました。

フルーツ牛乳を飲みます。

僕はハンバーグの次くらいにフルーツ牛乳が好きなので、この為に温泉に来たと言っても差し支えありません。

岩盤浴が本当の目的だと言った頃の気持ちは既に忘れました。

全身の細胞が打ち震えて歓び、この世にフルーツ牛乳を生み出した者への感謝を覚えます。

思ったより量が少ないなと思いましたが、2本目に手を出すのは野暮な気がしたのでやめておきました。

 

そんなわけで、今までずっと温泉を毛嫌いしていましたが、腹をくくってしまえば案外良いところなのかもなと思いました。

そして何より、たまには自分にしがらむものから距離をとって、考えることをやめる時間も必要だと気付きました。

また気が向いたら行ってみてもいいかもしれないね。

 

そんな話でした。それでは。